相続人が認知症の場合はどうなる?|成年後見制度の利用と遺産分割協議への影響
遺産分割協議は、相続人全員が自分の意思で同意しなければ成立しません。
しかし、相続人の中に認知症などにより判断能力が低下している方がいる場合、その方は自分で遺産分割協議に参加することができません。
このような場合、適切な法的手続きを行わなければ、遺産分割協議そのものが無効になるおそれがあります。
成年後見制度の利用が基本的な対応です
判断能力が不十分な相続人がいる場合は、成年後見制度の利用が原則的な対応になります。
成年後見制度とは?
認知症や知的障害、精神障害などによって、契約や財産管理などを一人で行うのが難しい方のために、家庭裁判所が「後見人」等を選任する制度です。
後見人等は、その方に代わって遺産分割協議に参加することができます。
成年後見制度の申立ての流れ
- 医師の診断書を用意する
認知症の診断や、判断能力の程度を証明します。 - 家庭裁判所に申立てを行う
原則として、本人の配偶者や4親等内の親族が申し立てます。 - 家庭裁判所での審理
家庭裁判所が必要に応じて本人や申立人に事情を聞き、後見人を選任します。 - 後見人等が選ばれると、手続き再開
選任された後見人等が相続手続きに関与し、遺産分割協議が可能になります。
※申し立てから後見人選任までは1〜2か月程度かかるのが一般的です。
後見人が選ばれた後の注意点
後見人は「本人の利益を守る」立場です。
たとえば、相続人の一人としての本人にとって不利な遺産分割案には同意できません。一般的には、最低限法定相続分を確保することが必要とされています。
そのため、協議を成立させるには、公平な内容の分割案を作成することが大切です。
特別代理人の選任が必要となる場合も
認知症の方にすでに後見人等がついている場合などで、その後見人等が他の相続人でもあるときは、「利益相反」の問題(当事者間で利害が対立し、公平な判断ができない状態)が生じます。
このような場合には、後見監督人がついていなければ、家庭裁判所に特別代理人の選任申立てを行い、その特別代理人が遺産分割協議に参加することになります。
特別代理人とは?
本人の代わりに、特定の法律行為についてのみ代理権を持つ人です。
成年後見人とは異なり、継続的な代理権や財産管理の権限は持ちません。
任意後見制度もおすすめです
判断能力がまだあるうちであれば、「任意後見契約」などを結んで将来に備えることもできます。
ただしこれは、ご本人の判断能力があるうちにしかできない制度です。
「いざという時に相続手続きで困らないようにしたい」とお考えの方は、早めに司法書士にご相談いただくのが安心です。
まきの司法書士事務所では、相続と後見の両面からサポートします
当事務所では、相続手続きに関するご相談はもちろん、成年後見制度の申し立てや特別代理人の選任申立てもサポートしています。
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