親が認知症で実家が売れない!?司法書士が解説する解決策と手続きの流れ
「親が施設に入ることになったので、実家を売却して資金にあてたい。でも認知症のため契約ができないと言われてしまった…」
これは実際に多くのご家族が直面する問題です。
この記事では、認知症の親の実家を売却するにはどうすればよいか、司法書士の立場から、必要な手続きや注意点をわかりやすく解説します。
認知症の親の不動産は「勝手に売れない」
たとえ親子であっても、親の判断能力が低下している場合、子が代わって実家を売ることはできません。
不動産の売買は「意思能力」が必要な法律行為であり、判断能力を欠いた状態での契約は無効とされるためです。
また、親の財産を守るため、法律は家族による財産処分にも厳格な制限を設けています。
解決策は「成年後見制度」の活用
このような場合は、「成年後見制度(法定後見制度)」を使って、家庭裁判所に「成年後見人」を選任してもらい、その後見人が親の代理人として売却手続きを進める必要があります。
成年後見人には、家族や第三者(司法書士や弁護士など)が選ばれることがあります。
成年後見人選任の流れ
1.医師の診断書を取得
判断能力が低下していることを、専門医による診断書で証明します。
2.家庭裁判所へ申立て
申立書・戸籍謄本・財産目録などを用意して、親の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。
3.調査・審理
裁判所による審理、親族への照会、面談などを経て、成年後見人が決定されます。
4.後見人の選任決定
申立てからおおよそ1〜3か月程度で、正式に後見人が選ばれます。
実家を売却するには「裁判所の許可」が必要です
親が以前住んでいた実家のような「居住用不動産」を売却するには、家庭裁判所の許可が必ず必要です。
成年後見人が選ばれても、許可が下りなければ売却することはできません。
許可を得るために裁判所が重視するポイント
- 売却の必要性
例:施設入所費用、老朽化による維持費、空き家リスク、税負担など。 - 売却価格の妥当性
複数の不動産業者の査定書や、必要に応じて鑑定評価書を用意します。 - 本人の意思
軽度の認知症で意思確認が可能な場合は、売却に対する本人の意思が確認されることがあります。 - 推定相続人全員の同意が得られているか
家族間でトラブルが予見される場合、裁判所が慎重に判断する要因となります。 - 将来的に本人が戻る可能性
施設入所が一時的なものである可能性がある場合、売却は認められにくくなります。
※「売却代金の使い道」は必ずしも大きな争点ではありませんが、本人の生活や福祉に適切に使われる計画が示されていれば望ましいとされています。
成年後見制度を利用する際の重要な注意点
- 後見人をつけても、必ず売却できるとは限りません
家庭裁判所が「本人の生活や利益を守るために売却は必要不可欠」と判断しなければ、許可は下りません。 - 一度後見制度が開始すると、原則として本人が亡くなるまで継続します
途中で「やっぱりやめたい」と思っても、自主的に終了することはできません。 - 財産管理に強い制限がかかるようになります
後見人には裁判所への定期報告義務もあり、親の預金なども自由に動かすことはできなくなります。
売却後の手続きとお金の管理
許可が下りた後、後見人等が買主と売買契約を締結し、登記を済ませます。
売却代金は後見人等が管理し、親の生活費や医療・介護費用などに使われます。
家庭裁判所へ定期的に財産管理の報告も必要です。
まきの司法書士事務所では、成年後見手続き全般のサポートをします
認知症の親の実家を売却するには、「成年後見人の選任」と「家庭裁判所の売却許可」が必要です。
制度を使えば売却の可能性は開けますが、手間や制約も多く、後見人をつけても必ず売れるとは限らないことや、一度始めた後見は原則として途中でやめられないことには十分注意が必要です。
このような重要な判断や複雑な手続きを進めるには、専門家のサポートを受けることが安心・確実です。
まきの司法書士事務所では、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートに所属する司法書士が、ご家族の状況に寄り添いながら丁寧にご相談を承ります。
成年後見制度の活用や不動産の売却でお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
初回相談は無料です。平日夜間や土日祝の対応もご相談いただけます。
【事務所名】
まきの司法書士事務所
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